URBAN FARMERS CLUB

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未来を耕そう

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師走の渋谷の農家 『シブヤ ルッコラ』の種採りしながら想ったこと

師走ですな。

リバーストリートファームに向かう並木橋の交差点で、正月飾りを売る屋台が出ていた。それを横目に、今年はメンバーの福永さんが講師をしてくれたWSに参加したので「おいらは自作したしめ縄で正月を迎えられるんですよ!」と並んでいるお客さんに心の中で話しかけながら、オーガニックコットンの枝の剪定に向かった。

僕も知らなかったのだが、実がなった枝は剪定してそのまま吊るしておくとコットンフラワーになると聞いたので、年末年始、毎日は通えないので試してみようと思ったからだ。こんな感じでカットした。どうなるだろう。正月の楽しみがひとつ増えた。

と、畑に目をやると、国内外の7品種を育てているルッコラのうち、ワサビルッコラ(正式名称は忘れたけど、食味がまんまワサビのような切れ味の鋭い辛味がポイントのめちゃくちゃ美味いルッコラ)のいくつかの株が種が採りどきになっている。よく見ると、すでに弾けて、畑に種がこぼれてしまってもいるものもあったので、急遽、種採りもすることにした。

リバーストリートでは、初めての種採りだ。茶色くなった種をつけている株だけ、そっとカットする。でも、鋏を入れた振動だけでも、さやが割れて種が落ちてしまうものもある。あまりの繊細さに驚きながらも、小さな小さな種を見たら、なんと言っていいのかわからないけど、すごく満たされたような、穏やかでいて慈しみに似たような感情がどっと胸の奥から湧き上がってくる。深い深い瞑想を終えた時のような感情に近いのだが、微妙に違う。「なんだこの気持ち?」とありったけの言葉のインデックスを脳内で検索する。

自分たちで蒔いた種が、芽をだし、育ち、花になり、またこうして種になっている。渋谷のど真ん中で、こんな自然の摂理に則った営みがひっそりと巡っていることに覚えた感情は、なんと、「愛」でした。

新聞紙を敷いて、そっと指でさやを剥く。すると、小さな種がパラパラと姿を現す。ああ、ここにまた新しい生命の種があるんだと思ったら、人間も同じだよなと思った。みんなそれぞれが一粒の命を持って生まれてきたんだよな。オーガニックコットンと『シブヤルッコラ』の種を抱えながら、渋谷の雑踏を歩き始めたら、さっきまでと街ゆく人たちの顔が全く違って見えるようになった。

メンバーのみなさん。年明けから、一緒に種採りしましょう。