URBAN FARMERS CLUB

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香港アーバンファーミング事情レポート

 現在世界各地に広がるアーバンファーミングの活動。先進国の都市では様々な形や想いでアーバンファーミングがはじまっています。歴史的に一番古いと言われているのが200年前にドイツで始まった「Kleingarten(クラインガルデン) 」だと言われています。社会性を持ち貧困の救済やコミュニティー活性化のためにはじめられたのが起源だとされており、その他にもUFCが立ち上がるきっかけとなったロンドンの「キャピタルグロース」やアメリカでは貧困問題に揺れるデトロイトがアーバンファーミングを通じて都市の雇用と食糧の供給を作りだす「FoodLab Detroit」などなど様々なアーバンファーミングの形があります。


今回ご紹介するのは「香港」
人口750万人の都市で丁度愛知県と同じぐらいの人たちが生活している街。現在民主化運動に揺れる香港。実は既に日本よりも早くにアーバンファーミングの活動が始まっている国。香港における様々なアーバンファーミング活動の中で今回は2つの団体にお話を聞くことが出来ました。まずはこの香港のアーバンファーミングのパイオニア的な存在の「Rooftop Republic Academy」という団体に会ってきました。

ファームの場所は香港セントラルから北に車で20分ほど行った「Kowloon Tong」という香港城市大学や耀中国際学校中学校など学校が立ち並ぶ地区にあります。と言ってもやはりルーフトップファームなので道を歩いても存在が全くわからず迷う事30分。やっと多分ここにあるだろうというビルを発見。

Rooftop Republic Academy

ルーフトップリパブリックアカデミーは現在香港で約50カ所のアーバンファームを管理する団体で合計の広さ55000ft2にも及ぶ畑と今までに500回以上のイベントを開催しその他聴覚障がい者を都市農家として育成していくなど香港でも活動が注目されている団体です。

こちらで活動に従事するミッシェルさんにお話を伺いました。結論から言うと非常によく考えられた仕組みでこの団体を運営していました。彼らの事業領域は多岐にわたります。「ファームの設計」「栽培キット・プランターの販売」「都市農場の経営」「ワークショップ・イベント」「都市農業学校」「不動産資産価値のコンサル」「飲食店との協業」と説明が大変なほど多岐にわたる事業領域です。

プランターはプラスチック製の軽い素材で出来ています。しかもこのプランターはRooftop Republic AcademyのWEBサイトでも購入することが可能。プランター以外にも土や肥料もセットになって1600香港ドル(22,000円)ほどで購入できる。ミッシェルさんによるとビルの耐震状況を考えてすべて軽い素材の物を使用しているのと、手間をかけない為オートメーションの冠水システムを入れているそうです。無駄な管理に時間を使わず効率的にテクノロジーを使って運営しているようです。作物は流石香港。沖縄よりも南に位置する場所のせいか1月でもあっても20度越え。トマトもしっかり実っていました。

肥料などは作物によって種類を変えているそうで、香港のオーガニック専門農家と協業して作物を育てたり、都市農業を学ぶアカデミーでもそのノウハウは受講生に共有され、自宅や軒先で育てる技術を学ぶ人たちが多くこの圃場に足を運ぶそうです。アカデミーは様々な種類があり大体6カ月ワンプログラム。受けたい人はWEBサイトから簡単に申し込めるそうです。

「この作物はなに!?ディル??」と聞くと「フェンネルですよ」と。1月にフェンネルが育つとは・・・日本では5月~7月が収穫時期。やはり香港って暖かいんだなぁ。そして次の場所へ移動。

先ほどまでは「rooftop farm」でしたが次にお話を伺うのは「indoor farm」。所謂室内農業。香港セントラルから香港島へ船で渡り南に移動。日本でいう「豊洲」のような魚介市場と船が行き来する「田湾(ティンワン)」という地区へ。とにかく香港はマンションが高層!どこに行ってもこのようなマンションが立ち並ぶ。この前日に一緒に会食した香港人のお友達も「私の部屋は50階にある」と普通に言っていました。。今回お話を伺う「COMMON FARM」のJessicaさんから指定された場所は倉庫!?のような建物。。中に入ると誰も居なくてとても不安でしたがやっと会う事が出来ました。

common farm

次にお話を伺ったのは「COMMON FARM」のJessicaさん。2017年に企業したインドアファームの会社。この場所は2カ所目の新しい畑。もちろんビルの中にあります。水耕栽培かと思いきやなんと「アクアポニック」という魚と共に野菜を育てる仕組みを採用して現在駆逐の勢いで香港のトップシェフやミシュランシェフが彼女たちの育てるエディブルフラワーやスプラウトやハーブを購入している。

こちらがアクアポニックのタンク。タンクの中には魚がぐるぐると泳いでいました。Jessicaさんによると魚の糞がそのまま有機肥料として野菜の栄養になる仕組みで、土(なんと日本産)で育てる方法を採用している。すべて循環型になっておりしかもこのキット全部手作りでネットでも買える素材を使用しているのだとか。理由としてはオリジナルの素材やテクノロジーを多用しすぎると、どうしてもコストがかかりすぎる。なので安価でもシンプルな方法を採用することで拡張性を担保しているそうです。素晴らしい。

丁度育っているスプラウトを頂いてみましたが衝撃の美味しさ。水耕栽培では醸し出せない独特の深みのある味わい。流石ミシュランシェフが認めるクオリティー。Jessicaさんによると今まで約100種類以上の野菜をこの仕組みで実験栽培し、現在50ぐらいに絞って供給しているそうです。しかもしっかりとレストランのニーズを聞き、なかなか世で見ない珍しい作物を提供しているのだとか。確かに教えてもらったエディブルフラワーの名前を聞いて検索しても出てこないのばかり・・・

「どうしてインドアファームにしたの?」という質問にJessicaさんは「安定的に供給できるのがインドアファームの利点で、露地栽培は天候に左右されやすく安定供給できないんです。しかも香港は台風が多い地域だから」と。野菜を栽培供給するには「安定した環境」が必要。アウトドアになると環境に左右されやすく安定しない。確かに。「屋上にもファームが有るから行ってみる?」との声にいきたい!と即答!

おぉ~。丁度UFCのウノサワビルの屋上程の大きさ。ここではcompostで肥料を作り様々な野菜が作られていました。「今は忙しいからそのままにしてるの^^」と。プランターは木製。中にはまさにcompostが発酵していて栄養をグイグイ吸い込んだマンダリンが実っていたり、ハーブとか野菜とかが混在していたり。

「これは!?なに?」と聞くと「アボガド~」との事。やっぱり香港はあったかいから日本で育つものとはずいぶん違う作物があるもんだなぁと。そこでJessicaさんに「今興味がある作物ってなに?」と聞いてみたところ「日本の山椒はとてもスパイシーで葉っぱもとても香りが良くて興味がある」との事。

そして日本でも香港でも共通して言えるのは屋上ファームからの眺めが最高な事。香港の野菜は90%輸入に頼っているそうな。そのうちの40%が日本からの輸入。あとの60%は中国からの輸入に頼っている。香港人は口を揃えて「香港に入ってくる野菜はあまりおいしくない」という。そういうポテンシャルの中で生まれたのがこのアーバンファーミング。その他昨今の地球環境の持続可能なあり方についてのカルチャーが香港でも浸透し、都市農業で得られる輸送コスト・資源の削減やアーバナイズされていく街の緑化・その他都市化する街でのコミュニティーの形成。そしてCOMMON FARMのような食の安全性や食味と新鮮さの担保が香港のアーバンファーミングを支えているように思いました。「今度是非日本にきてね!」と2団体にもお伝えしています。今後交流が出来れば最高ですね。