誰もが子供の頃歌ったことがあるであろう「春の小川」。そのモチーフとなった渋谷川が再生されたのは、2018年の春。渋谷・新南口の再開発に伴ったものでした。1968年の東京オリンピックと同時に暗渠となった渋谷川。それが2020年に開催されるはずであったオリンピックを目前に控えて再生されました。そして、その渋谷川再生とともに生まれたのが「緑と水の空間」として誕生した渋谷川沿いの遊歩道でした。
渋谷リバーストリートファームは、その遊歩道の「緑」の象徴として、東急(株)とUFCが共同開発・設置した畑です。
コの字型やL字型の畑を構成している木材のほとんどは、東京・木場の木工所から出る廃材を活用し、その材のカットから、ペイント、組み立てまでをすべてメンバー自身の手で行いながら、これまでの経験を生かし、立ったままで作業がしやすいように腰高の高さに土の面を合わせたり、プランター下部の空間を道具や土など備品置き場にしたりと、使い勝手にこだわって作り上げたD.I.Y.なファームです。
新南口に開業した「SHIBUYA STREAM」と連携し、「STREAM農業部」という大人の部活動も立ち上げ、毎月、UFCメンバーとSTREAM農業部員が一緒に季節の野菜を育てています。そして、育てた野菜の自家採種も熱心に取り組み、「渋谷ルッコラ」など現在の渋谷から未来に繋げる固定種の育成にも力を注いでいます。渋谷のお隣・新宿にも内藤とうがらしという固定種がありますし、練馬大根などは誰もが聞いたことがあるほど認知されていますが、遠くない未来には、渋谷在来の野菜がここリバーストリートファームを拠点に誕生しているかもしれません。
また、もうひとつ、リバーストリートファームでは、ファッションの街・渋谷だからこその取り組みをしています。それは、オーガニックコットンの栽培です。私たちは普段何気なくTシャツを着ていますが、その原料となるコットンがどのようにして生まれているのか知りませんでした。Tシャツ一枚作るのに、いったいどれほどのコットンの量を必要とするのか。実際に育ててみることでたくさんの新しい気づきを得ることができています。フードロスのみならず、ファッションロスへの関心が高まっている中で、概念ではなく、自分自身たちのアクションを起こせるファーム。それがリバーストリートファームです。