URBAN FARMERS CLUB

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未来を耕そう

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土と分断された都市の子どもたちへ

「まさか、原宿で子どもに畑を体験させてあげることができるなんて、想像もしていなかったです」

東急プラザ表参道原宿の「やさいの森」で、そんな言葉をたくさんの保育園児のママさんたちからいただいています。

渋谷エリアは、スクラップ&ビルドの街です。いつも、どこかで古い建物が取り壊されていて、いつも、どこかで新しい建物が建設されています。ですが、そんな工事現場をのぞいてみると、コンクリートが剥がされたあとから、土が顔を出しています。当たり前のことですが、コンクリートに覆われたように思える都市も、足元はすべて大地と繋がっています。しかし、渋谷のような都市で暮らしていると、そんな当たり前のことすら忘れてしまいます。

人間は誰しも生きるためには同じ行為をしなくてはなりません。それは食べることです。そして、その食べ物とは、山や海や空や太陽や水がなければ生まれません。そして、自然といわれるそれらのエレメントは、実は私たち人間もその一部です。私たち人間も自然の一部です。

原宿や恵比寿で連携した保育園の園児たちへ提供している食育プログラムとは、作物を育てることを自らの手で行うことから、土に触れ、風を感じ、水の大切さを知り、太陽の尊さを学ぶことにつながると考えています。そして、大切に育てた作物たちは、大きさも形もバラバラです。中には、虫や病気によってダメになってしまう作物もあります。このような自然の摂理を体験することで、子どもたちは、自然界とは実に多様性に富んだ世界なのだという、ダイバーシティそのものを直接経験しています。

また、農薬を使わずに育てた野菜の味を記憶することもできます。味覚の形成は子どもの頃からの食生活が大きく左右すると言われています。「普段、まったく野菜を食べない子どもが、自分で育てた野菜だけはお代わりしてまで食べてます」と、ある保育園の園長先生から聞きました。たった一枚のレタスの歯ごたえ、かじりついた小さなニンジンの甘さ。土という自然を覆い隠してしまった都会の中だからこそ、自らの手で種を蒔いて育てた自然=野菜の味わいは、子どもたちに大人が想像する以上の情報と記憶を与えてくれるのではないでしょうか。

もしかしたら、野菜好きになった子どもを中心の食卓が生まれるかもしれません。もしかしたら、今の子どもたちが大人になった時に、自分たちの子どもたちへ同じような食育を提供してくれるかもしれません。食育とは、都市の暮らしに蒔く、可能性という種だと考えています。